
生産が動き出してから気づくテーキンと刻印精度の話
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製造現場では、刻印の寿命を延ばすために「より硬い材質を」と考えがちですが、実は硬度を上げすぎることで逆にトラブルを招くことがあります。硬度を高めすぎた刻印は、打刻時の衝撃に耐えられず、刃先が欠けたり割れたりするリスクが増大します。一方で、硬度を下げれば摩耗しやすく、印影が不明瞭になるという課題もあります。この“硬さと靭性のバランス”をどう取るかが、刻印選定における最大のポイントです。
その解決策として注目されるのが、テーキン刻印です。テーキンは高速度工具鋼に近い特性を持ち、焼入鋼より高い硬度を維持しながらも、割れにくい靭性を兼ね備えています。有限会社加古彫刻では、用途や使用環境に応じてテーキン材の熱処理条件や硬度調整を行い、摩耗と欠けの両方を抑える「最適硬度設計」を実現しています。
刻印に関する代表的なトラブルとして多いのが、「刃先の欠け」や「刻印面の割れ」です。これらは単なる経年劣化ではなく、初期設計の段階で硬度が過剰になっているケースが少なくありません。打撃や衝撃を繰り返すプレスや冷間鍛造では、硬度が高すぎるとエッジがもろくなり、欠損の原因になります。また、温度変化や応力集中によって、刻印全体に微細なクラックが発生することもあります。
一方で、硬度を抑えすぎると印影が浅くなり、摩耗も早く進行します。このようなジレンマを解消するためには、素材そのものの性能を理解した上で、熱処理や表面仕上げを組み合わせる必要があります。有限会社加古彫刻では、テーキン刻印の硬度を用途ごとに段階的に設計し、耐摩耗性・耐衝撃性のバランスを取っています。
テーキンは、高速工具鋼に近い組成を持ち、合金元素の配合によって高温でも硬度を保つ特性を持っています。このため、プレス加工のような連続衝撃や、ホットスタンプのような加熱環境でも形状が崩れにくく、刻印精度を維持できます。また、焼入鋼に比べて熱処理後の歪みが少ないため、精密刻印の製作にも向いています。
有限会社加古彫刻では、冷間鍛造・プレス・ホットスタンプといった用途ごとに、テーキン材の焼入れ・焼戻し条件を最適化。硬度のばらつきを抑え、長期使用でも安定した印影を保てる仕様を実現しています。靭性を確保しながらも、摩耗に強い表面層を形成する独自の熱処理技術により、実際の使用寿命は一般鋼材製刻印の1.5〜2倍に達するケースもあります。
刻印に求められる硬度は、用途によって大きく異なります。冷間鍛造では衝撃吸収性が重要になるため、靭性を優先したやや低めの硬度設計が推奨されます。プレス加工では耐摩耗性が中心課題となるため、表層硬度をやや高く設定しつつ、芯部に粘りを残す構造が理想的です。ホットスタンプや焼印では、熱伝導性と耐熱性のバランスが求められるため、高温時でも硬度低下しにくい処理が必要になります。
有限会社加古彫刻では、こうした条件をもとに、テーキン材を硬度区分(HRC値)で細かく管理。打刻条件や素材硬度に合わせた硬度マップを作成し、最適な材質提案を行っています。これにより、刻印の摩耗・欠け・変形を最小限に抑え、製品ごとに最適な寿命設計を実現します。
刻印の寿命を考える上では、素材特性だけでなく、加工精度や仕上げ技術も欠かせません。どれほど優れた材質でも、表面に微細な傷や段差があると、そこから摩耗や破損が進行します。有限会社加古彫刻では、放電加工による高精度な彫刻と、手仕上げによる研磨で、滑らかかつ均一なエッジを形成。これにより、印字の立ち上がりが美しく、長期間使用しても印影の鮮明さが維持されます。
さらに、表面処理による補強も有効です。TiNコーティングやDLCコーティングなどを施すことで、摩擦係数を低減し、熱による硬度低下を防止。これらを組み合わせることで、用途別に最適な「耐摩耗構造」を実現しています。
刻印トラブルの多くは、寿命が尽きた後ではなく「硬度が合っていなかった」ことが原因です。刻印交換や修正のたびに生産ラインを止めると、コストや工期にも影響します。だからこそ、年末の設備点検や金型メンテナンスの時期に、刻印の硬度や摩耗状態を見直すことが重要です。
有限会社加古彫刻では、テーキン材を中心に、使用履歴をもとにした硬度再設計や再製作の提案も行っています。長年の経験とデータをもとに、「摩耗が進みにくく、欠けにくい」刻印を実現。硬度設定ひとつで、刻印の寿命と生産効率は大きく変わります。刻印のトラブルにお悩みの方は、ぜひ一度硬度設計の見直しをご検討ください。
最適な硬度と耐久性を両立したテーキン刻印で、安定した生産と高品質な印影を実現する。それが、有限会社加古彫刻が提案する“刻印長寿命化”の第一歩です。