
放電加工とテーキン刻印の相性──精密仕上げがもたらす品質差
- その他

目次
プレス加工の現場では、刻印は常に高い圧力と衝撃を受け続けています。金型に組み込まれた刻印が打ち込まれるたびに、刻印面は摩耗し、文字の形状や深さが徐々に変化していきます。打痕が浅くなったり、エッジが丸くなったりすることで製品の視認性や美観が損なわれるだけでなく、寸法のばらつきや不良品の発生にもつながります。特に、製品ロットの管理や刻印品質が求められる自動車部品・金属部品・ベアリングなどの分野では、刻印の状態が製造品質の信頼性を左右することも少なくありません。有限会社加古彫刻では、こうした現場課題に対して、耐摩耗性に優れたテーキン刻印の提案を行っています。
テーキン(Tungsten Carbide Alloy)は、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金の一種で、高い硬度と靭性を併せ持つ素材です。硬度はHRA90以上と非常に高く、一般的な焼入れ鋼刻印よりも摩耗しにくく、欠けにくい特性を持っています。また、プレス加工では繰り返し荷重が加わるため、圧縮応力に対する耐性が重要です。テーキン刻印は圧縮強度にも優れており、金型との嵌合部や打ち込み面に高い耐久性を発揮します。有限会社加古彫刻では、放電加工・型彫放電・研磨仕上げなどの精密加工技術を駆使し、テーキン材の表面粗さを最小限に抑えることで、摩擦を軽減しながら長期使用に耐える刻印を製作しています。これにより、従来の焼入れ鋼刻印に比べて1.5倍〜2倍の使用寿命を実現するケースもあります(使用条件により異なります)。
刻印の摩耗速度は、使用条件や環境によって大きく変わります。たとえば、プレス荷重が高い場合や、被加工材がステンレスや高硬度鋼など硬い金属の場合、摩耗の進行は早くなります。また、潤滑不足や異物混入による打痕面の損傷も摩耗の要因となります。摩耗が進行すると、以下のようなサインが現れます。
・打痕が浅くなり、文字が読みにくくなる
・刻印のエッジが丸くなっている
・刻印面に小さな欠けや段差が見られる
・打ち込み時に不均一な圧痕や変形が発生する
これらの変化が見られた場合は、刻印交換を検討するタイミングです。有限会社加古彫刻では、定期的な点検時に刻印の摩耗状態を確認し、再研磨や再製作を提案することも可能です。
刻印の寿命は、使用頻度や加工材によって異なりますが、一般的な目安として以下の周期が参考になります。
・軟鋼・アルミ材を加工する場合:50,000〜100,000ショット
・ステンレス・高硬度鋼など硬質材の場合:20,000〜50,000ショット
・高荷重・高温環境下での加工:10,000〜30,000ショット
この範囲を超えて使用を続けると、摩耗が一気に進行し、文字潰れや刻印欠けのリスクが高まります。定期点検の際には、刻印の深さや輪郭を測定し、摩耗量が0.05mmを超えた時点で交換を検討するのが理想です。また、長期間の使用を前提とする場合は、テーキン刻印を選択することで交換サイクルを延ばすことができ、トータルコスト削減にもつながります。
1.適切な潤滑管理:プレス時に刻印と被加工材の間で発生する摩擦熱を抑えるため、適切な潤滑剤を使用します。潤滑切れは摩耗や欠けの大きな原因になります。
2.清掃と保管:使用後は刻印面の金属粉や油分をしっかり除去し、乾燥した状態で保管します。異物付着があると次回使用時に表面を損傷させます。
3.定期的な再研磨:軽度の摩耗であれば再研磨による再生も可能です。有限会社加古彫刻では、刻印形状に合わせた再研磨対応も行っており、コストを抑えながら品質を維持することができます。
これらのメンテナンスを行うことで、テーキン刻印の寿命はさらに延び、安定した打痕を長期間維持することができます。
岐阜県各務原市にある有限会社加古彫刻は、創業50年以上にわたり、刻印製作・放電加工・電極製作・機械彫刻を専門に行ってきました。NC加工・旋盤・研磨・型彫放電などの工程を自社で一貫して対応できる体制を整え、一本単位の小ロット製作から量産まで柔軟に対応しています。東海エリア(岐阜・愛知・三重・滋賀)を中心に、関西・北陸方面からの依頼も多く、全国対応が可能です。特にプレス加工用のテーキン刻印においては、放電加工技術と仕上げ研磨の精度に定評があり、現場の生産効率と品質安定化を支えています。
プレス加工現場での摩耗や刻印トラブルを防ぐには、素材選定とメンテナンスの両立が欠かせません。高い硬度と精度を持つテーキン刻印は、長期安定稼働とコスト削減の両面で大きな効果を発揮します。刻印交換やメンテナンスの見直しを検討している方は、精密加工の技術に定評のある有限会社加古彫刻へぜひご相談ください。