加古彫刻

微細加工が生み出す“刻む美”。テーキン刻印に見る放電技術の真価

放電加工がもたらす新たな表現領域

金属刻印は、ただ情報を刻むためのツールではありません。企業ロゴやブランドマーク、製品番号など、製造現場における「品質の証」としての役割を担っています。中でも、近年注目されているのが放電加工によるテーキン刻印です。硬度と靭性を兼ね備えたテーキン材を、放電加工によって微細に削り出すことで、従来では再現できなかった細線・曲線・陰影まで精密に表現できるようになりました。

放電加工(EDM)は、工具が直接金属を削る切削法とは異なり、電気エネルギーを利用して金属を溶かす加工方法です。これにより、焼入鋼や超硬材など、通常では刃物が立たない硬質金属にも対応できます。有限会社加古彫刻では、この放電加工の特性を活かし、テーキン刻印の持つ「精度」「耐久」「美観」を高次元で両立。ミクロン単位で制御される放電制御技術が、微細文字や立体的なロゴの再現性を支えています。

テーキン材と放電加工の高相性

テーキンは、高速度工具鋼に近い特性を持つ合金鋼で、高硬度・高耐摩耗性・高温安定性に優れています。こうした特性から、プレス刻印や鍛造刻印など、高負荷環境で使用される刻印に多く採用されています。放電加工との相性も非常に良く、熱伝導性が高いため、放電痕を均一に形成しやすいという利点があります。

硬質な素材ほど加工が難しいとされる中で、放電加工はテーキンの特性を損なわずに形状を成形できる数少ない手法です。切削工具では摩耗や熱膨張の影響が避けられませんが、放電加工では非接触で金属を溶融・除去するため、工具摩耗がほとんど発生しません。そのため、極小文字やロゴマークといったデザイン性の高い刻印でも、長期的な寸法安定性を維持できます。

電極設計が決める「刻みの美しさ」

放電加工において最も重要な要素のひとつが「電極設計」です。電極は刻印の原型ともいえる存在であり、その形状精度が最終的な印影を左右します。有限会社加古彫刻では、銅電極やグラファイト電極を使い分け、刻印の細部まで正確に再現するための電極製作を徹底しています。

微細な文字やロゴを加工する場合、電極の角部が丸くなったり、放電間隔が広がりすぎると、印影のシャープさが損なわれてしまいます。そのため、同社ではCAD/CAMを用いた電極モデリングの段階で、彫り込み深さ・角度・放電条件を緻密に設計。放電痕の大きさや分布を制御し、刻印のエッジが美しく立ち上がるよう調整を行っています。この電極設計こそが、放電加工の真価を最大限に引き出すポイントです。

放電条件の最適化で実現する微細刻印

微細刻印を安定して再現するには、電流値・パルス幅・放電間隔といった条件設定が欠かせません。わずかな設定差で放電痕の形状が変わり、仕上がり面の滑らかさや立ち上がり角度が異なってきます。有限会社加古彫刻では、長年の加工データをもとに、素材特性に合わせた放電条件を独自にチューニング。とくにテーキン材は導電性が高く、放電の反応が敏感なため、条件設定の最適化によって「焼け」を抑えつつ、シャープな輪郭を維持する技術を確立しています。

さらに、微細加工後の表面には放電痕(ピット)が生じますが、同社では後工程で手仕上げ研磨を実施。放電による表面の粗さを整え、光沢のある均一な仕上げに仕立てています。この“放電+研磨”の二段構成により、硬質材でも柔らかい印象を持つ精密な刻印が完成します。

深彫りと鮮明さを両立する職人技

放電加工は、深彫りになるほど放電の安定性が下がるという課題があります。深く彫り込むと放電痕が拡散しやすくなり、側面が荒れたり、底面の平滑性が損なわれたりするのです。有限会社加古彫刻では、この難題を克服するため、深彫り用の電極を複数段階で使い分ける「段階加工法」を採用しています。粗加工で大まかな形を形成し、仕上げ電極でエッジを整えることで、深さとシャープさを両立させています。

また、深彫り刻印では、底部の角がつぶれやすい傾向がありますが、放電条件と電極設計を微調整することで、彫り底のエッジを保ちつつ均一な仕上がりを実現。プレス加工やホットスタンプなど、高圧環境でも印影の鮮明さを保ちます。この“彫りの深さを美しさに変える”技術こそが、加古彫刻の放電加工の真骨頂です。

デザインと品質を両立する放電刻印の未来

放電加工による刻印は、単なる識別用ツールを超え、デザインの一部としての存在感を高めています。企業ロゴや製品アイコン、装飾模様を金属面に立体的に刻み込むことで、製品の完成度やブランド力を高める役割を果たしています。加古彫刻では、テーキン刻印の放電加工を通じて、「機能とデザインの融合」をテーマにものづくりを追求。高精度な刻印技術を、製造業のブランディング価値へと発展させています。

テーキン材の硬度と放電加工の精度、そして職人の手仕上げが融合した刻印は、ただの“識別”ではなく、“表現”としての価値を持ちます。微細な文字の一本線、ロゴの曲線、そのすべてに技術と美意識が宿るのです。製品の品質だけでなく、印象までも刻み込む――それが、有限会社加古彫刻が放電加工で目指す「精密美の世界」です。

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